
2026.05.01
2026年06月08日

ミケーレ・デ・ルッキは、イタリアを代表する建築家・デザイナーです。1980年代には、前衛的なデザイン集団「メンフィス」の中心メンバーとして革新的な家具デザインを発表しました。
その後、照明器具「Tolomeo」の成功により、「実験的デザイナー」から世界的なプロダクトデザイナーへと評価を広げます。建築からプロダクトデザインまで幅広く活躍し、人と空間、モノとの関係性を大切にするデザイン思想で国際的に高く評価されています。
また、2025年に開催された大阪・関西万博では、北欧館(ノルディック・サークル)の設計を手がけました。
デ・ルッキは、常に紙と鉛筆を持ち歩くことで知られています。
40年以上にわたり常にスケッチブックを持ち歩き、50冊以上のノートを描き続けてきました。近年も「ポケットペーパー」と呼ぶ小さな紙(普通のA4サイズのプリンター用紙を4つにちぎっただけのもの)を持ち歩き、思いついたことをすぐに描く習慣を続けています。
本人はインタビューで、「毎日鉛筆を持ちたいからこの仕事を選んだのかもしれない」と語っています。
「1986年にTolomeoをデザインした。むしろ発明したと言うべきかもしれない。最初に生まれたのはランプではなく機構のアイデアだった」
Tolomeo(トロメオ)は、1986年にケーレ・デ・ルッキとジャンカルロ・ファッシーナが Artemideのために設計した照明器具です。
可動アームと洗練されたアルミニウム構造を特徴とし、機能性と美しさを高い次元で融合したデザインとして、 現在では20世紀後半を代表する照明デザインのひとつとして評価されています。
その着想源は、南イタリアの漁師たちが使う伝統的な漁具「トラブッコ(Trabucchi)」でした。レバーとケーブルで棒を支える仕組みに着目した、と説明しており、その構造がTolomeoのワイヤー機構へと発展しました。
1987年の発売後、Tolomeoは世界中のオフィスや住宅で採用されました。
1989年にはイタリア最高峰のデザイン賞である Compasso d’Oro (コンパッソ・ドーロ賞)を受賞し、Artemideを代表する製品となりました。
コンパッソ・ドーロ賞とは?
コンパッソ・ドーロ賞(金のコンパス賞という意味)は、1954年にイタリアで建築家ジオ・ポンティによって創設された、世界で最も権威のあるデザイン賞のひとつです。イタリアデザインの向上と対外的なプロモーションを目的として設立され、優れたデザイン性はもちろん、機能性や革新性、社会的な価値までを総合的に評価し、時代を象徴するプロダクトに贈られます。長い歴史の中で数々の名作を輩出してきたことから、「デザイン界のアカデミー賞」とも称され、世界中のデザイナーやメーカーにとって特別な意味を持つ賞として広く知られています。
Tolomeoの特徴は、自由に動くアルミニウム製アーム、ワイヤーによるバランス機構、シンプルで機能的な構造、長期間使い続けられる普遍的なデザインにあります。
Artemideは現在もTolomeoを継続的に発展させており、テーブルランプ、フロアランプ、ウォールランプ、ペンダントライト、屋外用モデルなど多様なシリーズを展開しています。
【アルテミデスタッフ愛用品】
アルテミデに入社して4年、ユーザー歴は15年。
私にとって「Tolomeo(トロメオ)」は、暮らしの歴史そのものです。
アルミの鏡面とマットな仕上げで構成された、ミニマルで無機質なデザイン。
なのに、使えば使うほど愛着がわいてくる不思議な可愛らしさがあります。トロメオの魅力は、なんといっても「光を自由に操れる」こと。
セードを壁や天井に向ければ、これ1台でワンルームのデスクライトにも、部屋を広く見せるアッパーライトにも、植物を引き立てるスポットライトにも早変わりします。ライフステージが変わっても、活躍の場所は終わりません。
我が家では、子どもが生まれたばかりのころ、深夜の授乳ライトとしても活躍してくれました。調光コンセントを併用でいちばん小さな光にして、壁をそっと照らしていたのは大切な思い出です。(現在はスマートランプを使用すると色温度と調光どちらも対応できるのでお勧め!)
写真は子どもが5歳のころ(もう7年前!)の1枚。
なんだか、子どもを優しく見守るお母さんのような存在に見えませんか?
1人暮らしの部屋から、家族のいるリビングへ。引っ越しても、家族が増えても、ずっと暮らしに寄り添い続けてくれる照明です。
寄稿:アルテミデジャパン 三野 様
メンフィスとミケーレ・デ・ルッキ
メンフィスとは、1980年にエットレ・ソットサス を中心にミラノで結成されたデザイン集団です。鮮やかな色彩と幾何学的な造形を用いて、機能主義一辺倒だったデザインに新たな表現をもたらしました。
デ・ルッキはメンフィスの創設メンバーの一人であり、ソットサスに次ぐ中心人物として活動しました。First Chair(1983) がデ・ルッキのメンフィス時代の象徴的デザインです。
後年の代表作である Tolomeo は機能的で洗練されたデザインですが、 その根底には「人とモノの感情的な関係を大切にする」というメンフィス時代の思想が流れています。
メンフィスについてこちらで詳しく紹介しています>>>Ettore Sottsass — ポストモダンデザインの象徴
ミケーレ・デ・ルッキは、イタリアの照明ブランドArtemideとの長年の協働を通じて数々の名作照明を生み出しました。
なかでも1986年に発表したTolomeoは世界的なデザインアイコンとなり、ArtemideとDe Lucchiの創造的パートナーシップを象徴する作品として知られています。
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